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冨安 隆徳
愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。
主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。
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■ 今年の遠山川
今年の遠山川は距離以上に遠く感じられた。異常気象はこの川にも大変多くの影響を与え、遠山漁協は稚魚放流のタイミングを失い、餌釣り師の姿も近頃見なくなった。台風12号は上流域へのアクセスを悪化させ、名実ともに遠い山の川になってしまった。
険しく、押しの強い流れがいいアマゴやイワナを育て、厳しい環境ゆえにいい魚が残る。しかし今年は厳し過ぎないか?増水により魚は流され、川に置き去りにされた土砂は魚の居場所を奪う。
この川を見続ける初老の釣り師は「魚は少なくなった。しばらくはだめだろう。」自然の厳しさを思い知らされる言葉だが、悲観的に聞こえなかった。「大丈夫。いつか元に戻るよ。」そう言っているように思えた。
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■ 9月18日 台風後の釣行
台風の影響は?自分の目で確かめないと納得いかない性分の私は、午後から遠山川を目指し3時頃現地に着いた。上流部にいる知人から情報を入手し、中流域の須沢地区に入ったが、魚からの反応はなかった。水はやや多いが水色は問題ない。今日は早めに上がり、かぐらの湯で入浴を済ませ明日に備えることにした。
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■ 9月19日 遠山川上流部
4時起床。支流の北又沢を目指すが、昨日からの前泊組に加え、もう1組既にスタンバイしていた。残念だがこの沢は断念するしかなかった。しかたなく崩落ポイントを迂回し、易老渡付近まで約6kmを徒歩で釣り上がることにした。
川幅はそれなりにあるためオールマイティなIBXX−60MTを選んだ。このロッドは大物が掛かっても余裕で寄せられ、Kガイド搭載のためPEを使ってもストレスフリー。伸びの少ないラインでルアーキビキビとしたアクションを加えることが可能です。
釣り人は少なそうなので有望ポイントをスピーディに攻め上がり、変化のない所は林道をひたすら上流に進んだ。
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普段これほど大胆に攻められないので期待に胸が膨らむ。朝まずめを有効に攻めようと素早い判断を繰り返しながら、深みや流れの縒れ、落ち込みからの水が落ち着きアマゴが付きそうなポイントを次々と打っていく。しかし驚くべきは堆積した土砂の多さである。至る所に土砂の駆け上がりが出来ており、これが濁りの原因であることはすぐに判った。
流れにメリハリがなくなり、大小の岩で構成された瀬も、砂や砂利の浅いチャラ瀬になっていた。魚はどこに隠れればいいのだろう?朝まずめのタイミングにもかかわらず魚影が見えない。どこへいったのか?
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■ やっと会えた!
禁漁間際になるとあまりの釣り人の多さに魚を見失うことはあるが、今日は違う。先行者の姿もなく、こんなに苦労をさせられるとは。少し不安を感じながら川を釣り上る。森は深まり、広葉樹の黄色い落ち葉も多くなってきた。周囲の樹蔭により日の光が遮られ、沢からの水は滝のように、ある時はしみいるように流れ込み、徐々に雰囲気が出てきた。魚の追いも見られるようになったが、アマゴのポイントから追ってくるのはイワナばかり。イワナが付くだろうと思う深みのある反転流や淀からは何の反応もない。増水でアマゴが流されてしまったのだろうか。
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こんなことが数回あり、アマゴが好む流れを中心に65mmハンドメイドミノーで攻めていく。小刻みに体を揺らしながら、キビキビ動く体高のあるグリーン鮎のシンキングミノーはこの川では実績のあるルアー。グリーンバックはナチュラルカラーでありながらルアーの位置が確認しやすいカラー。
アップでキャストし、流れの筋をアクションを加えながら引いてくると、ルアーの後ろを黒い影がついてきた。イワナだ。捕食モードに入ったため、私の姿に気づいていない。ピックアップ寸前にロッドで8の字を描くとたまらずヒット。美しいオレンジの斑点を身に纏い、白い斑点の少ないヤマトイワナと思われる20cmほどの個体。鰭の先は白く、黒くつぶらな瞳は愛嬌がある。やっと魚に会えた。ここまで遠かった。
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気をよくして大きな渕、瀬、落ち込みが連続する流れを進むが、アマゴの姿は無く、小さなイワナが相手をしてくれるだけだった。ルアーはスリムなパニッシュ70Fヤマメカラーにルアーローテーション。大きなものは出なかったがイワナの姿は見ることができた。
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■ やっとアマゴにも
5時ごろから釣りはじめ、すでに4時間経過していた。なんとかアマゴに会いたくてここまで4km近く歩いてきた。9月中旬というのに夏を思わせる暑さで、シェードの無いところでは厳しい状況になってきた。
ルアーは再びハンドメイドのグリーン鮎にチェンジ。切り立った岩盤に沿っての荒い大岩を流れ落ちてきた水流が、緩やかな流れに変化したアマゴが好みそうなポイント。
白く泡立った落ち込みにルアーを放り込み、ラインスラックを取りながら、流れの筋を通していく。ティップに鋭くアクションを加えると、鋭い当たりとともに魚が姿を現した。
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少し婚姻色が入った朱点が鮮やかなアマゴ。大きな胸鰭と体高のあるフォルムは、まさに押しの強い流れのなかで育った証。小柄だが遠山らしいアマゴが姿を見せてくれた。今日はもう会えないと思っていたが、やっと会えた。この時これまでの苦労が報われたような気がした。20cmを超える程度の魚だが、今年の厳しい遠山で生き残った貴重な一匹に会えた喜びに思わず見とれてしまった。
アマゴ1尾がこれほどまでに遠く、苦労させられた年は無かった。やっとこれで今年の渓流にピリオドが打てる。そんな気にさせてくれる1尾であった。素早く写真をとり、元の流れにやさしくかえしてやった。アマゴは元気に流れに戻って行った。
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■ 今年の遠山川を振り返って
私にとって思うような釣りができなかった今年の遠山川。年々魚影が薄くなった印象は否めず、集中豪雨の影響は例年以降に出てくるものと思われる。魚はもとよりエサとなる水生昆虫も多くが流され、回復までにはしばらくかかるのかもしれない。ぜひ大いなる自然の回復力で、あの素晴らしい遠山アマゴと呼ばれるパ−フェクトなアマゴが泳ぎ回る川に戻って欲しいものである。
おそらく私は魚影にかかわらず、来シーズンも懲りずにこの谷訪れることになるだろう。美しい自然と、清らかな水、素晴らしい温泉と楽しい遠山川を愛する人々との出会いを求めて。
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● マイタックル
◇ロッド スミス インターボロン IBXX−60MT
◇リール シマノ ステラ C2500HG
◇ルアー スミス パニッシュ 70SP 70F パニッシュ50SP Dインサイト53 ハンドメイドルアー65S 70S ほか
◇ライン RAPARA RAPINOVA-X MULTI-GAME 0.6号
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