吉川 康之

埼玉県川越市在住の平凡なサラリーマン。

エリアおよび湖のスプーニングによるトラウトフィッシングをこよなく愛する。



《 2年振りの再会  〜2009年5月下旬  北海道阿寒湖〜 》


 『どうも お久しぶりです!』
 相手は地元釧路市在住のSさん。2年前に阿寒湖での釣りを通して知り合いになったルアーマンの方です。今回、阿寒湖に出向く旨を伝えたところ、初日だけですがご一緒してくれる事となりました。これまでにも、しばしばメールのやり取りはしていたのですが、直接顔を合わせるのは実に2年振りのこと! お互い、相手の顔の印象はとても希薄なものとなっていたため、本人だと確認出来るまでは正直ビクビクものでした。

 『今年の阿寒湖どんな感じですか?』 しばしお互いの近況について話し合った後に、一番の関心事について聞いてみました。今シーズンこれで3回目というSさんの情報によると、今年はワカサギの数が非常に少ないとのこと。絶対的な数が少ないのか?或いは、単に接岸が遅れているだけなのか?その点は定かではない様なのですが、とにかくワカサギを目にする事が出来ないという事でした。

 『やっぱりそうですか!』
 ついさっき、フィッシングランド横を流れる小川を確認してきたのですが、去年 黒い塊となって流れ込みを埋め尽くしていたワカサギの姿はどこにも無く、今年は目を凝らしてやっと数十匹が確認出来るといった程度でした。
 さらにSさんによると、ワカサギを食べる事が出来ていないからなのか、スリムで頭デッカチのアメマスをよく目にすること、昨年あれだけ好調であったサクラマスが今年はすっかり形を潜めてしまい、代わりにヒメマスが絶好調だとも話してくれました。

 Sさんの話すこの阿寒湖の状況が、今回の私の釣行にいったいどういった影響を及ぼすのか? 3日後の自分は、はたしてどういった感情で阿寒の地を離れる事になるのか? とても楽しみだと感じたのと同時に、悔いが残るような釣りは絶対したくないと感じたことを今でも覚えています。

 当日は5時間ほどだけでしたが、Sさんとのんびり会話などしながら阿寒湖の釣りを満喫することが出来ました。また次回、ご一緒できる日が来るのを楽しみにしています<(_ _)>

時には Sさんとのダブルヒット
の場面などがありました!


釣行2日目

 “よし起きよう!!” 時刻はまだ夜中の2時を少しまわったばかり。 ふと目が覚め、布団の中で昨日の事を思い返していたら、もう居ても立ってもいられなくなってしまい、予定よりも大分早く布団を抜け出す事にしました。

 準備を済ませ、フィッシングランド前に到着したのはAM4:40、事務所はもうすでにオープンしている様です。オープン前に桟橋でかるく釣りを楽しみたかったのですが、少し時間が足りません。ちょっと朝風呂に長居し過ぎてしまったようです。


阿寒湖は今日もあいにくのお天気
 『あっ、おはようございます!』 昨年と変わらぬスタッフの顔ぶれに、つい口元が緩んでしまいます。
 『また今年も宜しくお願いします<(_ _)>』 今年も阿寒湖にやって来たんだなと実感することのできた瞬間でした!

 今日からは渡船システムを活用します。この日選んだポイントはとにかく風の当たる側! 魚が岸寄りしていることを期待しての選択でした。当日は朝から西〜北西の風がやや強く吹きつけていたため、この風を正面或いは やや斜め前方から受ける事の出来るポイントを探しました。これにブレイクが隣接するシャローという条件を追加 ポイントを絞り込み、さらに風 波による極端な濁りを避けたいという思いから、底質が砂泥ではなく岩盤質のポイントを選択しました。

 “いきなりヘビーですな!!”
 ポイントに到着して、まず初めに感じた事でした。かなりオーバーな例えですが、私の眼前に広がるこの湖面の状態を敢えて例えるのなら、“冬の荒れ狂うベーリング海上で操業するタラバガニ或いは鮭鱒船から見える風景!” この例えが今でも一番ピッタリだと思っています(もちろんベーリング海などに行ったことはありませんし、タラバガニ漁だって経験したことはありません。あくまでも私の中でのイメージです!)。

 あまりの風とうねりの強さに、渡船から降りる際、他のポイントに変えさせてもらおうかどうかと直前まで真剣に悩みました。でも過去に経験したこのポイントでの良い思い出が、私を最後まで引き止めたのでした。

当日の状況は写真ではなかなか伝わりません

 つい1時間前まではゆったりと露天風呂に浸かってユルユル状態だったのに、今は緊張で足が竦んでいます。まさに天国と地獄です。“あぁ〜、風呂入りに戻ろうかな!” つい甘えた事を考えてしまいます。


 “おっ?!” でもそこは私も釣り師の端くれ! ひとたび魚の存在が感じられれば、どんなところだって、もうそこはパラダイスなのでした。“チャンチャンチャ〜ン♪”今日は流れるようにメロディが続きます!!(笑)

 小刻みな首振りと波間に見える白銀の魚体から、最初は小型のサクラマスかと思いましたが相手はヒメマスでした。サイズは35cm前後といったところ、ヒメマスとしてはなかなかのサイズではないでしょうか。このサイズでもそこはやはりベニザケ! その引き味はなかなかのもので ロッドだってしっかりと弧を描きます。
 “ いいねぇ!!” この一匹で、すっかり目が覚めました。先程までの甘えた考えは今はどこにもありません。

 このときのヒットルアーはバッハスペシャル18g。無風の条件なら 50m以上は楽に飛ばす事の出来るウエイトですが、このあまりもの強風!!しかも向かい風となっては、この重さでも 25mを飛ばすのがやっとのことでした。ある意味、このウエイトと細身なボディならではの一匹と言えるかも知れません。
 当日はこのルアーを水深2m程のシャローエリアに対してカウント3程沈め、水深〜1m位迄の割と浅いレンジを気持ち速めのリトリーブで探ってゆきました。強風とうねり、さらにこの曇天によるローライトな条件により、魚たちの警戒心は薄れ、かなり岸寄りしている様子が感じられました。

 群れが入ってきているのか、その後もしばらくヒメマスのヒットが続きました。Sさんの情報どおり、今年はヒメマスの当たり年に間違いはなさそうです。


今年はヒメマスの当たり年でした!

阿寒湖はヒメマスの原産地です


 “あ〜、なんかホッとする” 目の前の穏やかな湖面を見て、いっきに緊張が解けてゆきます。遠く、ついさっきまで居た方角に目をやると、ぼんやりとですが白波が立っているのが分かります。先程まで目にしていた荒々しい光景が本物であったのかどうか、もう一度 頭の中で思い返します。

 お昼前、私は西へ大きくポイントを移動していました。 先程までいたポイントが釣れなくなった訳ではありません。明日以降の事も考え、条件のまったく異なるポイントの状況も知っておきたいとの判断からでした。
 朝から吹き付ける風は依然治まらずに 逆に強さを増し、うねりもますます酷くなっていました。でもここはその湖岸線の特異な形状(ブーメラン状)から、ある一角が風裏となっており穏やかな湖面を見ることが可能でした。でもひとたびすぐそこにある角を曲がってしまえば、またさっきまでの様な荒々しい湖面が姿を現します。本当はこんな穏やかな湖面を眺めて釣りを楽しみたかったのですが...。ここで少し早めの昼食をとることにしました。

 やはり風裏側は今ひとつの様です。というか1時間以上探ってみましたが、たった一度のバイトすらありません。風裏だから釣れないという様な単純な話しではないのでしょうが、やはり角の向こう側が気になります。“よし、行こう!!”

 さっきまでの1時間が何であったのかと思えるくらいに、すぐにアタリが訪れました。ですがその後がなかなか続きません。その後、立ち位置を変えたり、トレースする角度を変えたりしながら、ちょっとずつ場所移動を繰り返します。時折、目の前で起こるライズやボイルに励まされながら、辺り一帯を丹念に探ってゆきました。


やはり風の吹きつける側に分があるようです

このアメマスを最後にしばらくアタリが遠のきました


 “んんっ!?”岸と斜め45度位の角度をつけ、沖のブレイクラインをトレースしている最中でした。トレースの後半、手前に広がる水中の葦根への根掛かりを避けようとリールを早巻きしルアーを急速浮上させた直後であったと記憶しています。突然、ロッドティップが押さえつけられたため、動揺しました。 ΣΣ( ̄◇ ̄;)!ハウッ!?

 これからまさにルアーを回収しようかというタイミング、ロッドは幾分高く構えられ、両脇は共に開いている状態、意識はすでに次にキャストするポイントを探していました。完全に無防備な状態でのバイトです。
 状況が状況であったため、しっかりとフッキングしたのか気になります。一度追い合わせを加えた後に針先にいる相手が何者であるのか竿先に意識を集中しました。アメマス、レインボー、サクラマス...、この引きはこれらのどれとも違います。相手の姿はまだ見ていませんが、正体はなんとなく分かりました。

 偶然にもここはちょうど2年前、同じ相手を掛けたポイント。ピックアップ直前の足元でのバイト、猛烈な引き、そして最後のフックアウトとその後の脱力感。 あの時、目にした光景と感情は2年経った今でも鮮明に覚えています。あの時はこちらが完全にのされてしまい防戦するだけでも精一杯でした。タックル面も十分だったとは言えないかも知れません。そして技術面、さらに精神面に至っては、もうお話にもならないレベルだったと自分でも思います。

 “あっ!” やっと相手が姿を見せました。 やはりイトウです。過去の記憶から、つい弱気になってしまい、無意識のうちにドラグに手が掛かっていました。これではあの時の繰り返しです。意識してドラグから手を離しました。

 あれから2年、タックルそして私自身 もうあの頃とは違います!インターボロンX(TRBX-SS83SD)にPEライン、システムラインにだって今はもう何の不安も感じません! 私だって2歳も歳をかさねました。それなりの魚は取り込んできたつもりです。体格だってほら ウエスト周りにこんなに貫禄が...! 寒さ対策にもなるし、グリップエンドが当たっても痛くありません!!
 この様に、いろいろな意味でパワーアップを成し遂げた私にとって、今回のこの幸運は、またとないチャンス! これまでの成果が試される時でした。 “いざ、勝負!!!”

 “よっしゃーっ! ありがとう!!”
 こちらに寄せては走られ、再度寄せてはまた走られと、5〜6回繰り返した後でのランディングでした。やり取りの最中に見せた、あの俊敏な動きと持久力! 私の持つイトウのイメージが大分変わりました。


阿寒湖のイトウ(70cm)まさに2年振りの再会でした!!

バッハスペシャル(北海道カラー)でのヒット


飽食しているのか まさに丸太と呼ぶにふさわしい体型でした

シルバーに輝く大きな頭 まるで鉄仮面でも被っているよう!

 それにしても、さすが阿寒湖! 今回も思いがけない演出で釣行を盛り上げてくれました!!今夜は美味しい酒が飲めそうです!


釣行最終日

 “今朝もまた雨ですか”
 阿寒に来て丸4日、まだ一度も太陽を見ていません。昨夜の予報では、朝から日差しが望める筈だったのですが、いったいこの状況はなんでしょう? 昨日に引き続き今日もまたお姉さんに騙されました。もちろんこんな状況ですから、今日もまた雄阿寒岳も雌阿寒岳も見る事は出来ません。雄大な景色を前に釣りを楽しむ事も今回釣行の大きな目的のひとつだったのですが、とても残念でなりません。

 最終日であるこの日、私は相変わらず風が強く吹き付ける湖岸線に立っていました。夜半の低気圧通過により、昨日よりさらに風の強さが増しています。 表層水温は7.0℃! 初日から 10、9、8、7℃ と日を追うごとに水温が低下してゆきました。 つい先週までは、良いお天気が続いていたらしいのですが、さすがにここまでくると何者かの悪意すら感じずにはいられません。 もし今のこの釣果がなければ、私の心はこの空の色のように暗く沈んでいたに違いないでしょう。

 朝一に入ったポイントは岩盤で形成されたシャローフラット。岸から60m近くまで腰下程度の浅瀬が続き、その先が徐々に深さを増していくといった地形です。恐らく今日も魚が岸寄りしているはず! 不用意にウェーディングすることは避け、軽量スプーン(ピュア7g)で近場をまず探ってゆきました。


“いったい何が楽しいの?” とか思ってません?
 “おおっ!!” 普通に考えたら信じられない様な水深(1m弱)でのヒットが続きます。その後、扇状にひととおり探った後は、5mほど前進し再び同じやり方で探ってゆきます。 時には、ピックアップする直前のバイトなどもあるため、最後まで決して気は抜けません。“ああ〜! デカイのついてきてたよ!!” 心臓はもうバクバク状態です (⌒〜⌒)

 そんな中、観光客の視線を連れて、遊覧船が目の前を通り過ぎてゆきます。 冷たい雨の降る中、波を被りながら釣りを続ける私の姿を見て、私がこんな感情を抱いて釣りをしているだなんて、きっと誰も思ってもないことでしょう! 楽しみの形は人それぞれなのです。

 “もうこれ以上先には進めないな!” 腰下までのシャローエリアはひととおり探り終わったため、軽量ルアーでは届かないその先のエリアをこれから探ってゆきます。 そこは私にとっては一級のスポット!最後までとっておいたケーキのイチゴを食べるような心境です!あまりの期待感でルアーを交換する手も震えてしまいます。

 “それじゃ いきますよ!”
 斜め前方から風を受ける中、バッハスペシャル18gをライナーでキャストします。 着水直前、多少の飛距離は犠牲となりますが、掌で強制的にラインの放出をおさえ、弛んだラインをピンと張ります。風に弱いPEラインを扱う上では欠かすことの出来ないひと手間です。魚がいれば何らかの反応がある筈です。 “さあ、どうだ!!”

 ボトムを感じたのち、ルアーを軽くシャクリ上げた直後のことでした “きたっ!” まさにリアクションで喰ってきたという感じです。“ジィィィーィィッ!!” 独特のグネグネとした動きのあと、猛烈な勢いで横方向に突っ走って行きます。
 “痛たたたたっ!” 連日の釣りで傷めた手首には、正直この引きはこたえます。でもうれしい!

 やっとの思いで取り込んだ魚はアメマス(59cm)、傷ひとつない立派な体格の持ち主でした。


<この容姿、もうなんともいえません/small>

もうひとまわり大きくなってからが楽しみです!

 “あっ!” 迎えの渡船がくる僅か1時間前のことでした。本釣行で初となる太陽が姿を現します。 ほんの一瞬だけでしたが、鉛色の湖面が本来の色を取り戻しました。 これで何の悔いもなく阿寒の地を離れられそうです。


ほんの一瞬だけでしたが、阿寒湖が本来の色を取り戻しました。

今年も良い思い出を刻むことが出来ました。


● 使用タックル

ロッド TRBX−SS83SD (SMITH)
リール CERTATE 2500 (DAIWA)
ライン FIRELINE EXT 1.0号(16lb) LO-VIS GREEN (BERKLEY)
リーダー TROUT SHOCK LEADER フロロカーボン 8lb (MORRIS)
ルアー BUCH SPESIAL JAPAN VERSION 18g (SMITH)
PURE 7g,13g (SMITH)
TROUTIN SURGER 6g,14g (SMITH)
フック シュアーフック サクラマス2G (SMITH) ※ バーブは潰してあります



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