猪原 亮

高知県在住。チーム・CATホッグチェイサーズ(海猫)、ショア馬鹿いけいけ2号団所属。

海でスズキ、イカ、青物、フカセ釣りを展開中。



《 ショアジギって 》


 昨年の10月からショアジギに関して・・・全く釣れなかった。秋になれば朝も晩も日が短くなっていくため、仕事前に釣りができた時でも、1時間くらいしかない。そんな朝一の短時間ではなかなか結果が出にくい。そういう時に限って、昼前とか昼過ぎに「ようけ釣った」と話を聞くばかりである。

 そして休みの日には潮を見て場所を選んでやってみるも、釣れるのは全部ヤズ。たまあ〜に、ちびっこバラハタやオオモンハタが釣れてくれるくらい。


 昨年は10月以降の水温低下が遅く、下がってからは1月以降、大変水温の低い時期が続いた。だからヒラにしろ青物にしろ、なかなか釣りづらい日々が続いたのかなあ?それとも魚は居るのに、自分が釣れない釣りをしているのか・・・
 うーむ、何か根本的に釣りを変えないと釣れないのか?と考えてしまうほど釣れない日々であった。まあ、毎年釣りをしてきてここまで釣れない年は珍しいから、そんなに気にすることもなかったのかもしれない。・・・が、釣れないのは精神的に大変辛いものがある。

 釣りっていうのは、一日に何度も時合いが有る時は少ない。ただ、マズメ時というのはどんな釣りにしてもテッパンなので、その時間に狙いを絞って釣りに行く事である程度の釣果は得られる。しかしながら、やはり一日まるまる釣りが出来るのと、時間に制限を持ってしか釣りが出来ないのとでは、その釣果は天と地ほどである。

 ことショアジギに関しては、一日の内、魚がいても足下近くに魚が回ってくる回数は限られてくるし、そのうちルアーにまで食いついてくれる活性は回遊の回数分あるか、もしくはたった一回かもしれない・・・確かにどんな釣りにしてもそうかもしれないが、ショアジギに関してはその極みだと思える・・・去年一年間、丸一日の釣りがほとんど出来ない日々を送って改めて痛感した。


(実釣)

 2月中旬、久々に良い潮が着けたのでエバ狙いに。この冬はエバも全く釣れない日々が続いていた。以前から何年か周期でエバが釣れない年はあったが、今年にそれが当たってしまったようだ。

 朝一は空振って、場所変え。7時半ごろ足下をジグで叩きだすと、底からワンジャーク目で何者かがヒット!お、重い〜・・・引かないけど重い〜!!上がって来たのは、2キロ半くらいのバラハタっち。毎年この時期には釣れてくれる奴だ。

 去年の秋に逃がした奴が大きくなって釣れてくれたのかな?・・・いやいや、ハタ類がこんなにすぐにデカくなる訳ないか(笑)。



 撮影を済ませ、次の一投目。再び足元を中層辺りまでシャクッた時、「ズン!」とバイト!お?!今度はちょっと走る、が止まった瞬間一気に反撃する。リールをハイギアに変えてみたので、一気に巻き取れ、すんなり上がって来たのは55くらいのヒレカン。

 久々のヒレカン。ただこのサイズだと、リールがハイギヤだから楽に獲れたかどうかは分からない。



 さて、これから4月下旬まで、エバは釣れないわ、ブリは回ってこないわ・・・で、また暗黒時代に入る・・・


 今年は4月には天候が安定せず、降雨が多く更に気温も低かったせいか、高知県西部の沿岸水は黒潮が接岸しているにもかかわらず、なかなか昇温が進まなかった。実際、沿岸より10マイルほど沖の漁場では釣りでブリが豊漁だったのに対し、自分らのブリ接岸の目安となる定置網にはほとんどまとまった入網がなかった。

 行けども行けどもブリの釣れない今春。もちろん行けない日の方が多いわけで、その合間には「ブリが釣れた」とも聞いたが、群れが大きければどこかで自分にも釣れておかしくない位、今までのデータを基にした釣行はしていたつもりだった。

 いつもの年より接岸した魚群が小さかったのか、水温変化が激しかったため地先に定着しなかったのか定かでは無いが、春先のルーティーン・ブリをここまで当てれなかったのはショックだった。仕方のないことだったのかどうかは分からない。


 そんな釣れない日々(その他の魚種もヤズ以外は何も釣れないのである)を送る中の4月下旬のとある日、底物釣師の間に挟まれ、朝からジグをしゃくり続けていたとき、足下に猛烈な勢いでキビナゴが集結してきた!(4月中ベイトは常にいた)「これは何か居る!ヤズか?」と、思っていると少し沖で数発のボイルが発生。背中が茶色かったのでカンパチだと確信。このチャンスでは食わせられなかった。

 今の群れは、磯の右側からベイトを追い立ててきた。青物の回遊は数回は同じようなコースでやってくることが多いので、次のチャンスも来るとしたら右側からやってくるはずである。ベイトの動きを注視しつつ、磯の右方向、ボイルの起こったラインにジグを投げ続ける。


 30分ほどした時、再びキビナゴが右方向から一気に集結してきた。ジグを投入し、カウントを取っていると投入点のすぐ横でボイル発生。しかし我慢してカウントを続ける。

 カンパチの場合、ボイルがあったからといってジグで表層を引いてもなかなかバイトしてこない。水深が15mから20mであれば、ボイルが起こってもカンパチの群れの大半は中層以深を泳いでいることが多い。(もしくは表層にいた奴がフォールしているジグに追尾してくることもある。15mや20mといった水深はカンパチにとっては一瞬で移動可能である)。

 そのため、一旦底まで沈めて数ジャーク目でバイトしてくることが多い。今回もそれだった。底からスローな2ジャーク目で「ズン」とバイト!ネイリに間違いない!しかも掛かったときの重量感から、サイズはまあまあかもしれない。

 アワセと同時に一気にショートピッチ・ハイスピード・ポンピングで底を切る。10mほど巻き上げた時、反撃され数メートル引き出されたが、止まった瞬間ドラグを締めて一気にポンピングをはじめる。ハイギアのリールとポンピングで魚の頭を常にこちら向きに持ってくる。上がって来たのは60は軽くありそうなヒレカンであった。タモで掬い、計測すると71cm。いい型だ。自己記録のヒレカンである。

 さすがにこのサイズを釣ってみるとハイギアの有効性を実感できた。そしてこの魚は、いままでの不調で荒んだ心を大きく癒してくれた。こんなに感謝した魚はなかなか無いかもしれない。4月末に釣れる80オーバーのブリ5本より、僕の中ではよっぽど価値のある魚である。ありがとうございます、ヒレナガカンパっち!



 さて4月は終わり、またいっときは釣れない釣りを続ける日々が続きそうな気配ムンムンである。今年の春はことブリに関して、ここ数年で最悪の滑り出しとなりそうである。


P.S. 八重山からやって来たロックショア・フライマン

 3月中旬、八重山のとある島から大学時代の友人が久々に高知に帰ってきた。彼はもともとショアジガーで10年前はミッドショアにペンをつけてファントムをガシガシシャクリ、ハガツオやカンパチ、ブリ、ヒラマサ、シイラと乱獲し、僕をショアジグの世界に引っ張り込んだ男である。

 しかし数年前に、「ルアーは釣れるからつまらない」といって、フライマンに転向し、今は八重山のとある島に仕事場(彼は昨年のNHKの朝の連ドラに出てきたキャラクターのモデルになりました)を持ち岸からGTを狙っている。

 しかし、磯でのフライフィッシングってのは一言でいうと、「水面か足下しか釣れない釣り」である。シングルハンド・キャストでの釣りなので、平均飛距離は30m弱。釣れる水深も最深で20mくらい・・・ほんと非効率な釣りである。

 ただ非効率だからこそ、魚を釣る難易度的には最高峰であり、釣れた魚には大きな価値がある。それに比べたらルアーで「魚が釣れない、釣れない」と毎日愚痴っている自分はなんて甘いんだと思った。


 磯で無心にストリーマーを振る彼を見ていて感じたのは、価値観というのは人それぞれ。釣れる魚も人それぞれ。だからこそ、「どんな釣り方で、どのように釣れた魚」を求めることが、その釣り人の幸せなんだな、と改めて感じたのだった。


● 使用タックル

ロッド 旧ブローショット11f
リール ツインパワー6000HG
ライン シールズワン12lb+シーガー8号
ルアー サラナ、自作ジグ



[ 戻る ]


(C) Copyright, 2010 SMITH LTD. All rights reserved.