藤井 康雅

シーバス、ロックフィッシュ、ジギング、イカなど四国全域で様々なソルトウォーターゲームを展開。



《 夜討ち朝駆け 》


 「お刺身食べた〜い!」とおねだりするうちの娘。春から大学生となって東京に住んでいるが、鮮度・値段、どっちをとっても手が出ないらしい。ちょっと贅沢に育てすぎたのだろうか(味覚だけ)?
 そんな訳で5月の連休に東京から帰って来ると言う。しょーがない、食べさせてあげましょう、新鮮なお刺身!

 とは言うものの、実は5月って目立った獲物のない時期でもある。過去の記憶を紐解いてみても、いい目をしたことがない・・・。刺身は刺身でも、魚は諦めて、軟体モノで勘弁してもらおうか、でも連休ともなればエギングを楽しみたいアングラーもわんさか釣り場へやって来るだろうし、と考えて久し振りにナイトゲーム主体でやってみることにした。


 PM11:00スタートフィッシング。月が昇るにはまだ早いので常夜灯のある漁港を攻める。潮位は上げ6分といった所か、いいタイミングだ。
 さあ乗って来いとばかりにボトムからガンガンとシャクリ上げて来るも、何ら反応はない・・・。「いないのかな?派手なアクションが時期的に嫌いなのかな?」暗い中でやっていると、つい色々なことを考えてしまう。不幸のサイクル(=ボーズ)に陥らないためにも「考えるより行動」と、シャクリ、誘いのパターンを変更する。

 派手が駄目なら、地味系とばかりに、シャクリの数は同じだがよりソフトにシャクリ、よりスローにフォールさせてやる。時計を見るとAM0:30、日付が変わっちゃってるよ、気持ちは焦りつつもアクションはスローに、スローに、を言い聞かせる。
 「ペロン、ペロン」と力無く5回程シャクリ上げ、1〜2秒「ポーズ」この時、ティップは真上を向いている。ポーズ後はティップをジワジワ倒しながらヌメヌメと「フォール」させてアタリを待つ。緊張のひと時だ、が、ボトムまで何も起こらなかった・・・。


 もう一回!ペロンと5回シャクリ、ポーズ、そしてフォール。ティップをエギの沈下にやや逆らいつつ倒してゆく。ティップが目の高さまできたあたりからさらにティップを下げようとすると、今まで程良く張ったままのラインが倒せば倒すほどたるんでゆく・・・!

 「お待たせしましたー」とばかりに電撃アワセ!「グスッ!」やっと乗ったよー!!TJ-80がベリーから気持ちのいい曲がりをしている。「ビヨーン、グイーン」とイカの引きが暗闇の中で心地いい。じっくりじっくりリーリングして寄せてくると、キロ前後の美味サイズ。大事にネットで取り込む。



 ボーズは脱出したが、まだ足りない。何がって?うちの娘、実は食いしん坊。1キロ1パイでは不十分なのだ。
 漁師モードで2ハイ目を狙う。「さっきのヒットはポーズが効いたのかも」と思い、水平移動をさせるつもりでポーズのティップ位置を後方45度あたりまで倒してゆくことでなるべくエギを落とし込まないように操る。

 ジワーッとサビく感じでやっていると完全に後ろに倒しきった辺りでTJ-80のティップが「モソッ」とわずかな重みをとらえた。さあ、どうしよう?ティップは後ろ、肘は前に突き出た状態、いつもの電撃アワセが出来る訳はない。
 TJ-80を信じて無理な(危険な)角度から手首だけでアワセを入れる。何ということか、アワセがきまった!TJ-80も平気!いい曲がりをするロッドだからか、逆に相当な無理(特に角度)もきくようだ。ますます頼もしい相棒に見えてきた。

 楽々取り込んだ獲物は400グラム程、秋なら「グー!」のサイズだが、まだ足りない!

 夜が明けてしまった・・・。闇にまぎれてオカズをゲットして帰るつもりだったのに情けない。夜討ち朝駆けになろうとは。


 徹夜明けの体にムチを入れ、テトラ帯へと移動、やや浅目のポイントで高活性の夜明けのイカさんとの勝負に出る。出来るだけ遠投して、ボトムから激しいダートアクションで周辺にいるであろうイカにアピールする事3回、そろそろいいかなとばかり、4回目には丁寧なフォールを混ぜてやることにする。

 これが大正解!ど遠投したエギをシャクリ上げ、1回目のフォールでゆるゆると張ってゆくラインがフニャッとたるむ。40m先でラインのたるみも考慮すれば、半端なアワセはバラシの元と、両手を使った鬼のフッキングを入れる。TJ-80に「ドシッ」と重みが乗る。これもキロ前後ありそうだ。いい曲がりをしている。

 40m沖でポッコリ浮いたイカを波紋を立てながら足元まで寄せてくる。やけに活性の高い個体だったのか、陸に上げても興奮状態で漆黒のボディーカラーはなかなか治まらない。おもしろがって見ていると「ぶじゅーっ」墨を吐きやがった。


 目標は達成したので岸壁の掃除と証拠隠滅を兼ねて釣り座を水洗いして帰路についた。


 さあ、娘よ、お待たせ。好きなだけ食え!イカ刺し、イカ天、イカカルパッチョ、イカバター、ありとあらゆるイカ料理を食卓に並べてやった。

 「こんだけありゃあ満足だろ?」の父の質問に、娘は一言 「お父さん、私、本当はお肉をガッツリと食べたかったの!!」

 徹夜の努力は何だったんだろう・・・。


● 使用タックル

ロッド スクイッドハーツ TJ-80
リール 2500番
ライン PE0.8号
リーダー フロロ 2号
餌木 エギ 3.5号



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